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金田善裕こと金田トメのオルタナティブ・メディア

貧困について語り続けるサンダースと新聞記事「保護された姉妹、1カ月ぶり入浴 親子が月4万円で生活」

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text by 金田善裕と金田トメ

テレビでバーニー・サンダースが登場する番組を録画している。で、大統領予備選の大勢、支持者の集まるイベントの録画があったのだが、開口一番、貧困の話で、ずっと貧困の話が続いた。1パーセント対99パーセントを前面に出して、いろいろな調査数値を出して、いかに「大きなお金の利益(Big Money's Interest)」、つまり巨大資本の利益のためだけに世の中はできていると語る。熱血漢で聴衆の支持も熱気に満ちている。

オッキュパイ運動の主旨が四年たって花開いている感じである。

などと考えていたら、朝日新聞が二日続けて、子供と貧困の記事を掲載した。オッキュパイを起源とすると、それがサンダースという大統領候補を誕生させ、同時期に日本にもそういう流れが伝搬しているところがあって面白かった。シンクロニシティ共時的現象ともなっている。

www.asahi.com

正直、本望である。おれは若い時期に一度売れて、その一年だけは金があったが、それ以来、ずっと貧困層でいる。時々、サラリーマンになってその数ヶ月だけは中流層にあたる金を稼いだことがあるが、あとはずっと貧乏だ。よくうちのお母ちゃんはそれにつきあってくれていると、時々、感心する。今日もニューヨークでは最下層の外食、ピザ屋で納得してくれている。まあ、そんな生活でも東京の倍は金がかかるのがこの街だが。

そういうオレが考えるとこうなる。日本の政治家にはまったく期待できない。オレのような貧困を理解する政治家などいないと思うからだ。日本の政治家たちは正規雇用を増やせとしかやらないからね。もっと多様な働き方というところに目を向けない。例えば、アルバイトでやりくりするミュージシャン、アーティスト、演劇関係者、旅人、ヒッピー、パンク、トラベラー、レイバーなんて、世の中の埒外だもんな。

だが、アメリカは少し違う。サンダースはこういう層が押し上げている感じが強い。

多様な働き方があって、その中の貧困。日本の物差しではこれは計れないと思う。

サンダースなら、ニューヨークという街なら、こういうオレのような貧困に対する物差しがある。売れないアーティストにも暖かいものをという視点があるからだ。日本にはこういうものはまったくない。でも、日本に住んでいたら、こんなこと考えず、ただ、暗く下っていく絶壁のガケがあるだけだ。

この暗く下っていくガケを書いたのが、今回の朝日の記事だったと思う。アーティストの話ではないが、ある意味で、時代が崩れ落ちていくガケを見たような気がする。人間が崩れ落ちていくガケである。オレは日本で出版業界にいて、ずっとそれを見てきた。時代の進み行きとともに多く者たちは精神病を持つようになっていった。

いまだに日本は、そして世界はここまで深く重い悲しみを背負っているのか。人間と社会の崩壊と書いていいだろうか。貧困は日本と世界をむしばんでいく病のようだ。

この病を快復することは可能なのだろうか。オレに答はないけれど、サンダースはそれに対する回答の一つなのだろう。

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