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金田善裕こと金田トメのオルタナティブ・メディア

SEALDs『民主主義ってなんだ?』と思い出の高校生新書の一冊

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」
Text and Photo by 金田善裕

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最近、SEALDsなどの学生たちのアクティビズムが日本で盛り上がっている。ぼくも5月、6月に帰国して、直接は見なかったものの国会にはよく出かけていったので、少し知っている。SEALDsと高橋源一郎の本『民主主義ってなんだ?』も読んでいる。奥田愛基さんの生き方が自由でなかなか良い。カンタンに言うと似た人種だ。ぼくも高校を一回ドロップ・アウトしてジャズ喫茶で働いたり、兵庫県姫路市から東京に引っ越したりと自由な生き方を歩んだ。大学を卒業してからもバンドをやったり。その一つにじゃがたらがある。キーボードを弾いていた。卒業後一年してヘブンという雑誌の編集者になった。佐内順一郎こと高杉弾が編集長だった。

んで、まわりにじゃがたらの江戸さんとか映画監督となった山本政志とか田口トモロウ君とかスージー甘金とかいろいろいて、それが青春であった。時代はパンク・ニューウェーブの時代だった。

んで、この自由に生きるということを中学時代に後押ししてくれた一冊がある。もうタイトルは忘れてしまった。昔、三一書房から高校生新書というのが出ていて、中学時代によく読んでいた。その中の一冊との出会いが、ぼくのすべてを変えてしまった。反抗することは正しいと書いてあったのだ。

どうも歴史によると1968年のメキシコ・オリンピックの時だと言うが、ぼくの頭の中では1964年、ぼくが小学校三年生の時の東京オリンピックを見て、優勝したブラックの選手がアメリカ国旗に拳を上げてアメリカの人種差別に抗議をするというシーンを見た。それは当たり前の光景だった。1964年または1968年当時、それは自然なことだったし、9歳または13歳のぼくにもそれは予想できた。ビートルズが席巻した、そういう時代である。

今と似ている。まさしく似ている。小学校の子供が徴兵制を心配して国会に行く時代である。

そんな時代に整理のついていない問題があったのだ。親である。親は反抗者であるぼくを認めなかった。今にして思えば大した問題じゃないのだが、まだ、中学生だったぼくには、それなりに負担だったのだ。

そんな小学校からくすぶっていたぼくの心情を開放したのが、高校生新書から刊行された一冊の本である。中学か高校の教師が書いた本で、反抗することは自然なことで、決しておかしいことではなく、正しいことだ、とあったのだ。今にして思えば近代以後の批判精神を大事にする思想的な系譜から書かれたものなのだろう。しかし、中学生にとっては、聖書のような存在だった。

親に向かって、反抗は正しいのだとその本にふれてからの一週間は折りにふれて、息巻いていたのではないかと思う。そして、その心情がパンク・ニューウェーブとなっていったのである。

すごい本だった。人生の中で時々思い返していた。今の時代の日本はあの時代に似ているのだろうか。ブルックリン在住なので、勝手に思うとそうなる。

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